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「近現代南インドのバラモンと賛歌」〜バクティから芸術、そして「文化資源」へ〜

はいさい!

インド仲間で南インド研究者である小尾淳さんが先日上梓された「近現代南インドのバラモンと賛歌」〜バクティから芸術、そして「文化資源」へ〜(青弓社)を紹介します!



右は小尾さんが字幕を手がけたタミル語映画「世界はリズムで満ちている」




 現在、大東文化大学国際関係学部で助教を務める小尾さんは、かつては南インド、タミル・ナードゥ州の古都タンジャーヴールに住み、近郊にある政府系の音楽カレッジでカルナータカ音楽(南インド古典音楽)の声楽や弦楽器ヴィーナーを習得した人なのです。インドの大都市ならばまだしも、タミルの一地方都市で生き抜き、彼の地の音楽や芸能を習得、そして研究するにはかなりの気力と体力が必要なのはいうまでもないこと。そんなことをやり遂げた小尾さんはワシからすればそりゃ強者。うん、アマゾネスですね(笑)初めて会ったのは小尾さんが留学中のタンジャーヴール。待ち合わせのオールド・バススタンドのそばに、月光仮面さながらの日焼け&ホコリ防御のスタイルで颯爽とバイクにまたがって現れた姿を今でもよく覚えています!



 南インド留学からの帰国後も地道に研究を続けてきた、そんな小尾さんの一つの成果がこの本。300ページ超のこの本では、小尾さんが研究してきた「ヒンドゥー教の賛歌の伝統」について紐解かれています。ご存知、インドは芸能大国で、至る所に音楽が溢れていて、さらにはカルナータカ音楽のように高度かつ実にインドらしく発展した宗教・芸術音楽があるのですが、ヒンドゥー教の信仰の一つの手段としても、音楽が当たり前のようにあるのが「音楽好き」にはたまらないのです。このことに関しては、ワシのシリーズもののトークイベント「The カルナーティック・トーク!」(カルナータカ音楽の魅力を紹介するもの)や「インドの南に行ってみよう!」(南インドの魅力を幅広く紹介するもの)などでも、色々な実例動画をお見せして来ました。カルナータカ音楽の精神的オリジンとも言われるヴェーダの詠唱やヒンドゥー教の寺院にお参りに来たごく普通のおじさん(素人!)が寺院の壁面に刻まれたシヴァ神への賛歌を詠唱する様子、おばぁちゃんが孫の健康を祈願して歌う歌、タミル暦のマールガリ月の早朝、人々が神の賛歌を歌いながらヒンドゥー寺院の周囲を練り歩く様子などなど。ワシ自身が南インドで見続けてきた素敵な「音楽的シーン」をいくつもシェアしていますが、インドのそういった音楽的なものの「偏在っぷり」を「ヒンドゥー教の賛歌」という視点から読み解けるようになっています。



 もちろん学術書なので、そもそもの目的がワシら一般人に知らしめるためのものではないのですが、ワシのイベントに来てくれてるような人には、多少なりとも響くのではないのかな。お値段も税別6000円と学術書的な値段ではありますが、南インドの興味のある人は是非ともご購入、もしくは近隣の図書館へ購入リクエストを出して読んでみてください!ちなみに表紙のイラストはマサラワーラーの武田尋善画伯の手によるものですよ!ラーダーとクリシュナの遊戯をモチーフにしたバクティ溢れる絵ですよ!



以下、ワシが撮影したこの本に関連する写真を二点ほど。



ウダヤルール・カルヤナラーマンによるコンサート形式の賛歌の詠唱。2007年、チェンナイにて。



「ラーダの婚礼祭」の様子。2017年、チェンナイにて。


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